ブログの方向性とか、色々模索中ですが、ギャンブル依存症克服のために、他の趣味などで時間を使うという手段があると思うので、本や映画のレビューなどにもチャレンジしてみることにしました。
できれば、ギャンブル依存に関わる本を中心としたレビューをしていきたい気はしつつも、基本は読みたい本を読むスタイルで行こうかと思います。
ただ、第1回目の今回は、ギャンブル依存、この本に倣うと「ギャンブル障害」についての本の紹介となります。
こんな人・こんな時におすすめ
ギャンブル障害(依存症)をやや医学的、科学的な立場から冷静に知識を得たいという人向けの本です。
今苦しんでいる当事者が読んでも、全く参考にならないわけではないですが、それよりは、IR法案などでギャンブル障害に興味がある、あるいは、身近にギャンブル依存症者がいる家族、カウンセラーなどの治療者の立場の人が、ギャンブル障害とは何か? をまず知るための糸口となるような内容です。
今すぐギャンブル障害(依存症)の回復・克服を目指したいという方の実践的アプローチを期待する本ではありません。
ざっくり概要
- 著者の蒲生さんは、心理学などにも精通した薬物療法の効果が十分ではない病気を扱う精神科医です。
- そのため、精神医学的なアプローチから、ギャンブル障害の説明が行われており、逆に依存症者本人としての立場の体験、知見などは盛り込まれていません。
- 依存症という言葉を使わず、「ギャンブル障害」というのも、医学的にその方が適切だからという理由です。
- ギャンブル障害の医学的定義、脳の働きとギャンブル障害の関係性、診断と治療、行動分析学・行動経済学との関連、社会資源との連携についてが主な内容です。
グッドポイント
- タイトルにもあるとおり「本人の責任ではない」ということが、科学的アプローチによって弁護されているので、ギャンブル障害を抱える本人の負担が、客観的に軽くなるような知識を提供してくれるのはありがたいと思います。
- 科学的、医学的とは言っても、難解な専門用語や理論を展開するのではなく、あくまで大衆向けに平易な文章で書かれているため、比較的理解はしやすく読みやすい内容となっているでしょう。ギャンブル障害を理解する入門書となることは間違いありません。
イマイチポイント
- ギャンブル障害を抱えている本人が、それを回復・克服するための方法が書かれている本ではないということです。理由としては、一律にギャンブル障害だからこういう治療が有効である。ということを決めつけず、それぞれに必要なアセスメントを行い診断、治療法を確立していくことが大切だという筆者の考えによるものが挙げられます。
- ただ、あまりにそれを意識するあまり、極端に一般化、客観視された事実と、詳細は通院や回復施設でのつながりを促すという内容に終始している感じを受けてしまいます。
- また、薬物による物理的な症状を「依存症」、行為に対する症状は「嗜癖(障害)」と定義しているこだわりのため、ギャンブルについての話題なのか、広義の依存や嗜癖問題を扱っているのか見失いそうになる場面が多々ありました。確かに、医学的には「ギャンブル依存症」という表現は不適切かもしれませんし、色々な嗜癖、依存症との比較で語られるより、もっとよりギャンブルにフォーカスした内容であればよかったのかなと思いました。
トータルの感想
ギャンブル依存症(障害)を扱う紙の本としては、2017年11月時点で最新であるため、真っ先に読んでみましたが、カジノ法案などの話題に触れているとはいえ、これまで多少なりともギャンブル依存症に関する知識を身につけてきた僕の意見としては、これは目からウロコだ! という情報は残念ながらありませんでした。
ただ、これは僕がそもそも依存症克服の途上にいる立場だからという面もあるかもしれないので、知識としてもっと知りたいという一般の方や、カウンセラーなど治療者の立場だけど、ギャンブル依存は専門外。という人の入門書としては良いと思われます。