副題にもありますが、
”自分の「うつ」は性格の問題だと思っている人へ”
というのが結構刺さりました(広告業界用語的に)
生きづらさがあり、「うつ」っぽいと思っていても、
それを何かのせいにできない人は、救われる可能性があるかもしれない一冊です。
こんな人・こんな時におすすめ
気分変調性障害という病気を知っていて、自分にその疑いがある人。
もしくは、自分がうつ病のチェックシートには当てはまるんだけど、でも頑張れば働けるし、自分の場合は甘えだと思ってしまうような人。
とりあえず、よくわかるではなく「なおす」とタイトルにある通り、気分変調性障害や、うつ病未満のような疑いのある当人が読んで納得できる本になっていると思います。
ざっくり概要
- 著者は他にも著書が多数の、対人関係療法の第一人者でもある精神科医の水島広子さんです。
- 世の中には色々な生きづらさがありますが、中には「うつ」のような症状も、実は性格や性質の一部と捉えて、うまく折り合いをつけていくという考え方の本も多くあります。 もちろん捉え方は人それぞれ最適なものがあると思いますが。この本の中では、その生きづらさは「病気」として捉えられています。
- 気分変調性障害を病気として扱い、治療可能なものと定義することで本書は進められます。また、世間一般では常識と呼ばれそうな事柄についても、治療の足を引っ張る考え方として、否定的に捉えられているのが、楽になるポイントのひとつです。
グッドポイント
- そうは言っても、やっぱり自分は違うよ。
という気分変調性障害の人が陥りそうな考え方に対しても、先回りして、それはむしろ気分変調性障害の特徴の一つです。と最初に言ってくれているところが、心のハードルを少し下げてくれている。ここに至っているのだとしたら、内容を信頼してもいいかと思えるエピソードです。
- 実践的なことがそれほど多い訳ではありませんが、それでも知識を得るための本ではなく、気分変調性障害の本人が読んで安心できる本であることは間違いありません。
イマイチポイント
- まあ、しかたのないことではありますが、対人関係療法の実践的なものについてまで触れられるものではありません。本人が読んで楽になれる内容の本ではありますが、でもきっと次のステップに進むための本でしかありません。これを元に、どれだけ次のステップを踏めるか、というところでしょう。
トータルの感想
実は僕自身、この本を読んで病院を転院する決意ができた本です。
この本自体にももちろん救われたところはあるのですが、この本だけで実践的な取り組みができるかというと、そういうわけではないので、やはりこの本を足がかりにして、次のステップに進めるかどうかがキモになってくるのだと思いました。
どこか不調だけど、原因がよくわからないという人や、精神科・心療内科には通っているけど、「うつ病」と診断されたことはない。という人にとっては支えになる本ではないかなと思います。